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2012年09月25日

【シリーズ】これからの農業経営を考える~プロローグ

農や食に対する期待や関心が、日に日に高まってきていますね 😀
このシリーズでは、農業をとりまく外圧状況から、これからの農業経営を考えてみたいと思います。
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市場の縮小、バブル経済の崩壊などにより、世界的な経済危機が現実味を帯びてきました それに伴い、直売やネット販売など、脱市場=市場に頼らない生産や消費のあり方が期待されるようになってきました。また、原発や放射能汚染などの環境問題が深刻なものとなるに従い、健康や安心・安全に対する期待は、人口物質や化学物質からの脱却という意識として顕在化してきています。
市場や人口物質・化学物質に頼らない生活、それは言い換えれば、自然の摂理に則した生活 とでもいうべきもので、お金でものを買って消費するだけの、使い捨ての生活からの脱却、究極的には循環型社会の実現が求められているのだと思います。
従って、これからの農業経営を考える上で、循環型社会における農業が、これからの農業のひとつの答えになるのではないでしょうか。つまり、エネルギーの自給、肥料の自給、自家採種(種の自給)、脱化学農薬というように、これまでの生産技術そのものの見直しと、さらなる追求が求められています。
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●エネルギーの自給
日本は、エネルギーの大半を海外からの石油に依存しており、エネルギー自給率はわずか4%と言われています。従って、エネルギーの自給率を考える上で、太陽光発電や風力発電、そして今話題の少水力発電など、自然エネルギーの有効利用は避けられない課題です。また、バイオマスなど、地域の資源を活用することも重要になってきます。
●肥料の自給
肥料の自給とは、石油や天然ガスなどの化石燃料由来の化成肥料からの脱却ということに他なりません。有機肥料や堆肥を活用した、つまり、化成肥料に頼らない有機農業的な農法を追求していきたいと思います。そこでは、籾殻や米糠や落ち葉、あるいはおからやコーヒー粕などの食品廃棄物、食物残渣など、エネルギー問題同様、ここでも地域資源の有効利用を考えていく必要があります。
●種子の自給
循環型社会とは再生産可能な社会ということだと思いますが、そういう意味で、自家採種(種の自給)は不可欠なファクターです。現在市場に出回る農産物の殆どがF1呼ばれる一代限りの交雑種で、子孫を残せなかったり、同じ形質が継承できないものばかりです。最近は各地の伝統野菜や固定種の作物が注目を浴びていますが、これは現在の市場の中での差別化を図るのが目的だったようですが、種の保存や継承という視点は重要です。
●化学農薬からの脱却
また、人口物質・化学物質からの脱却という点では、化学農薬からの脱却を考えていかなくてはなりません。これは広い意味での防除技術、さらには農法の確立、ということになると思います。単純に化学農薬を使わない、というだけでなく、病気や害虫の発生する仕組みや原因そのものを追究し、それらを発生させないような栽培管理や農法をどうする?という課題につながっていきます。
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一方、市場からの脱却や、安全・安心志向の潮流は、自分たちの食は自分たちで、という自給志向の意識潮流を生み出しました。しかしながら、実際に一人一人が自給自足の生活を実現する、などということは現実的ではありません。
実際には、信頼できる生産者に委託、あるいは直接取引するということになり、そのための信任関係の構築が必要となります。従って、安全・安心な農作物をつくる農法や農業技術、その結果としての美味しい米や野菜を、どうやって流通・販売するのかを考えることは、これからの農業にとって不可欠なことになります。
現在見られる流通・販売の形態として、地産地消や各地の直売所の動きは注目すべきところだと思います。またそれ以外にも、ネット販売や宅配など、市場や既存の販路に代わる販路についても、可能性を追求してみたいと思います。
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さらに、生産者と消費者をつなぐアイテムとして、あるいは経営を支える基盤として、加工品や農産物加工は重要な位置にあります。人々の安心・安全期待、自給期待に応える加工のかたちとは?
さらに、近年需要が伸びているカット野菜にも要注目です。業務用、家庭用の一次加工品から、それらを利用したサラダや惣菜、惣菜キットなど、現在の需要動向と今後の可能性についても考えてみたいと思います。
このように、これからの農業経営においては、生産だけでなく販売そのものを考えていく必要があります。何を作るのか?よりも、むしろ何を売るのか?どうやって売るのか?を考え、事業化していくことが必要です。そのための生産・組織化であり、さらにその先に、技術開発・商品開発といった課題が見えてきます。
ということで、「これからの農業経営を考える」をテーマに、順に記事をアップしていきたいと思います。
お楽しみに!
【シリーズ】これからの農業経営を考える
 0.プロローグ
 1.農産物加工特産品の可能性
 2.農産物加工~カット野菜の可能性
 3.市場に替わる販路~地産地消・直売所の可能性
 4.市場に替わる販路~ネット販売・宅配の可能性
 5.自給期待に応える~循環型社会の実現に向けて
 6.自然エネルギーの活用
 7.地域資源・廃棄物の有効利用
 8.固定種・伝統作物を見直す
 9.防除技術・農法の追求
10.まとめ

投稿者 komayu : 2012年09月25日 List   

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